| 関節病 |
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(1)関節病の症状
大型犬が8歳、小型犬が12歳を過ぎる頃からベッドに上れなくなったり、階段の上り下りができなくなったりするのは、犬の四肢の関節に障害が出たり、脊椎の障害が原因です。ひじやひざ、足首や指関節、肩や股関節などのどこかが関節炎になっている可能性があります。
関節は、独立した骨と骨との「組み合わせ部分」。「関節包」という膜で包まれていて、その内部は滑膜から分泌された潤滑油のような関節液が満たされています。そして、相対する骨の先端を覆って、衝撃を吸収し動きをスムーズにさせるのが「軟骨」の働きです。骨格の中で、動物の体を支えながら運動機能を確保するための可動的な仕組みなのです。
- 遺伝性の関節炎
「股関節形成不全」「膝蓋骨脱臼」「肘関節形成不全」「離断性骨軟骨炎」などの遺伝性疾患
例えば、日本にいるレトリーバーの50%程度は、股関節のゆるみが大きく、関節が傷つき炎症を起こす「股関節形成不全」にかかっていると言われ、遺伝的に発症しやすい系統の犬たちが繁殖に使われた結果と考えられています。
- 外傷性の関節炎
無理な動作や激しい運動で関節部分の軟骨や滑膜が傷ついたり、骨どうしを連結する靭帯が切れて関節が不安定になった結果、関節の軟骨や滑膜を痛め、更には関節脱臼を起こすこともあります。
その原因のひとつが太りすぎで、関節に恒常的な負担がかかり、靭帯や軟骨を痛めやすくなります。また、アジリティやフリスビーといったドッグスポーツで、障害物を駆け上がったり、急カーブを切るなどして、関節への負担が蓄積すると慢性関節炎にかかりやすくなります。
- 関節リューマチ
ミニチュアダックス、シー・ズー、マルチーズなどの小型犬に多いとされ、自分が持つ免疫機能が自らの体を攻撃してしまう「自己免疫疾患」です。若い時に発症すると進行が早く、関節が変形したりします。
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(2)病気の解説と治療法
1.骨関節炎(骨軟骨症)
退行性関節病とも言われ、大型犬がかかりやすい股関節形成不全などを含む関節疾患の総称です。回復がむずかしい高齢犬の関節病です。
体重のかかる膝やひじ、かかとなどの関節に起こります。特徴は、関節軟骨が破壊されること、その部分に新しい骨組織が形成されるために関節の滑膜が弱くなり、関節が変形するために、正常な関節運動ができなくなります。
犬が肥満していると、重症になって歩けなくなることもあります。患部の関節は腫れて、触れると痛がります。痛みを取り除く消炎鎮痛剤の投与や関節の手術が行われます。
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2.椎間円板脊椎炎(ついかんえんばんせきついえん)
犬の椎間板が破壊される病気で、細菌感染によって起き、神経障害を伴います。高齢犬の場合には、尿路の慢性的な感染症や慢性皮膚疾患、細菌性心内膜症、歯周病などからの誘発と考えられています。大型の高齢犬に発生します。
症状としては、後躯の痛みが繰り返して起こり、痛みがある時には体温が上昇します。そして次第に体重が減って痩せていきます。
病気が進行すると後躯が不全麻痺するか、全麻痺で後ろ半身が全く動かなくなって、ひきずって歩くようになります。尿や大便は垂れ流しの状態になりますが、食欲は多くの場合、正常です。
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3.脊椎症(椎間板ヘルニア)
人間ばかりではなく、ペットも椎間板ヘルニアなどの腰痛になります。特にダックスフンドやビーグルなど胴が長く、足が短い犬に多く見られる症状です。
背骨はいくつにも文節した骨で形成されています。背骨の中は空洞で、脊髄という神経が通っています。そして背骨と背骨の間は、椎間板によってつながれているのです。ちょうつがいのようなもので、柔軟性に富んでいます。しかし、椎間板も年齢とともに硬くなり、さまざまな要因で破壊されると、その破壊された部分に新しい組織が新生して突出します。そこに痛みが起きるのが椎間板ヘルニアです。
極めて進行の遅い、炎症の伴わない脊椎の病気です。椎間円板腔の部位に骨増殖がいくつかあっても、犬が無症状で過ごしていることがありますが、放っておくと神経が麻痺して半身不随にもなる、怖い病気です。
症状は、障害を受けた脊髄神経によって違いますが、犬の場合には、散歩の時に足がもつれる、大股に歩いていたのに小股になってきた、抱っこをすると痛がる、自分で排泄が困難になってきたなどです。
手術をする場合、脊髄を傷つける可能性も考えられ、また手術後の回復にも時間がかかることから、最近では切らずに注射によって、突き出た部分をへこます治療も普及してきています。
椎間板ヘルニアは冷やすと症状が悪化するので、室内犬や猫の場合には、夏の冷房に気をつけましょう。屋外犬では、冬に小屋を暖かくするようにして下さい。
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関節病の治療は対症療法で、痛み止めの内服、理学療法で患部の血行を促進することで、関節の運動性を修復します。温浴や温湿布、冷湿布などでも効果を期待できます。
椎間板ヘルニアに限らず、脊髄を損傷してしまい、下半身麻痺になった場合には、「水中遊泳法」というリハビリがあります。たらいに体温ぐらいのぬるま湯を少し入れ、その中にペットを静かに入れ、徐々にお湯の量を増やしていきます。ペットは足がつかなくなると、泳ごうとします。これを毎日続けると、麻痺した足が浮力に助けられて、ちょっとづつ動くようになります。次に足がたらいの底を蹴るぐらいにお湯の量を減らします。このとき、たらいの底にゴムマットを敷いておきましょう。これを毎日続けると歩けるまでに回復した例もあります。
「予防」
子犬の時期から、適正な食餌管理と運動を行うことが大切です。また、成長期に、高いところから飛び降りるなどの激しい運動をさせないようにすることも予防になります。フローリングの床は関節に負担をかけるので、カーペットを敷いたり、足の裏の毛をまめにトリミングしてすべりにくくするなどの日常生活のケアも必要です。
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