慢性腎不全(尿毒症)
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(1)慢性腎不全の症状

腎臓が4分の3以上の機能を失うと腎不全になるといわれます。然発症する急性腎不全とゆっくりと発症する慢性腎不全があり、どちらも遺伝的な要因あるいは、感染、中毒、食事、損傷などの二次的な原因による発症があります。

犬の寿命が延び、加齢に伴う腎機能の低下による慢性腎不全も見られるようになりました。

尿毒症は、腎不全にうよって起こる症状で、体内にアセト酢酸、アンモニアといった老廃物が溜まることで発症します。これらの化学物質が独特の「尿毒症臭」を作りだします。息がアンモニアの臭いがするといったようになります。

初期症状では、良く水を飲み、尿量が増えます。痩せて、被毛のツヤがなくなります。元気がなくなり、周りのことに関心を示さなくなります。そして、空嘔吐を繰り返し、泡を吹いたり、食べ物を吐き始めます。やがて、身体が震えたり、バランスがとれなくなり、最後には痙攣を起こすようになります。

病気が進行すると体重の減少、食欲不振、蒼白な歯肉、口腔内潰瘍、そして嘔吐、や下痢などが見られます。

血液生化学検査では、血液中の尿素や窒素、クレアチン、リンが上昇していることで腎不全と診断されます。しばしば貧血もあり、血圧が高くなっていることがあります。

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(2)病気の解説と治療法

腎臓には、身体に不必要になった老廃物や毒素を尿として排出する機能がありますが、腎不全が進行するとそれらが対外にうまく排出されなくなるのです。

腎臓は、小さな濾過器である「ネフロン」と呼ばれるものがたくさん集まっている組織で、それで血液を濾過して、老廃物を尿の中に排泄しています。このネフロンは一度損傷を受けると再生しないため、残っているネフロンに負担がかかり、損傷が波及していくことで、腎不全の進行が加速します。

慢性腎不全は、腎炎などの病気が進行して、腎臓の機能がうまく働かなくなった場合におこり、さらに悪化すると(腎臓の75%以上が障害を受けると腎不全)、
体内に老廃物が大量にたまって尿毒症になります。尿毒症は全身の臓器にさまざまな障害を与えます。

内臓疾患は外見上の症状が出にくく、さらに腎臓はがまん強い内臓で、その濾過装置の3分の2以上が壊れてようやく判明しますが、その機能は一度壊れれると元には戻らないため、症状が出てから死亡するまでの期間が短いのです。

腎不全だとわかったら、即入院し、体液に近い成分の輸液や栄養素を点滴することで体内の水分調整をしたり、尿量を増やして血液中の老廃物や毒素を尿として排泄させます。重症の時は人工透析が必要になることもあります。また、吸着剤を使って血液中の尿素窒素を便から出す治療をすることもあります。

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(3)食事療法 「食事療法食は必ず獣医師の指示に従って与えて下さい。」

慢性腎不全では、食事療法が最も重要と考えられています。食事管理の目的は、残っているネフロンの負担を軽くすることで、それ以上ネフロンが減少しないようにすること、腎不全のために余分に捨てられてしまう栄養素を補給することです。

ネフロンに最も負担をかけるのは「リン」です。リンが過剰になるとカルシウムと結合して「リン酸カルシウム」になり、それがネフロンに沈着して、ネフロンを損傷させます。また、窒素製廃棄物もネフロンに負担をかけます。さらにナトリウムの排泄が滞ることも、腎臓の負担になります。「リン」「タンパク質」「ナトリウム」の制限が必要です。
ただし、尿毒症にまで至っていなければ、極端なタンパク質の制限は必要ありません。

腎不全のために捨てられてしまうカリウムやビタミンB群の補給が必要です。

腎不全の処方食の特徴
  • リンの含有量の制限
    窒素バランスを維持することで、疾患の進行を遅らせる
  • タンパク質の制限
    タンパク質はリンの源なので、中程度のタンパク質と低リンが組み合わせられた食事が好ましい
  • 塩分の制限
    血圧のコントロール
  • 酸化化合物の制限
    尿のpHを中性に維持する
  • 食物繊維
    窒素の老廃物を排泄するため
  • ビタミンB添加
    腎不全で喪失する分を補充する
  • 脂肪の増量
    食欲が低下している時のカロリー補給
  • 必須脂肪酸のバランス
    オメガ3脂肪酸は腎臓を保護する役割を果たします。それに対してオメガ6脂肪酸は腎臓を損なうと言われているので、オメガ3脂肪酸の比率を多くなるようにします。
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「食事療法食は必ず獣医師の指示に従って与えて下さい。」


Copyright Masterfoods

ウォルサム
(マスターフーズ)

「腎臓サポート」

1kg、3kg、8kg
パック

代謝エネルギー
423Kcal/100g
慢性腎不全の犬に給与することを目的としています。リン及びタンパク質の含有量を制限しています。また、シュウ酸カルシウム結石症のリスクを低減します。

適応
  • 慢性腎不全(CRF)の中期から後期
  • 尿酸塩結石症及びシスチン結石症のリスク低減
  • 腎機能低下を伴うシュウ酸カルシウム結石症のリスク低減
製品の特徴
  1. 腎不全を悪化させる二次性上皮小体機能亢進症を考慮して、リン含有量を制限。
  2. 血流をサポートするフラボノイド(ポリフェノールの一種)を配合。
  3. 糸球体機能をサポートする、ω3脂肪酸(EPA,DHA)を増強。
  4. 胃及び腸粘膜潰瘍の形成を誘発する可能性のある窒素性老廃物を考慮し、フラクトオリゴ糖ゼオライトを配合。
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栄養組成(平均分析値) 従来の製品とは算出方法が異なりますので、給与量の目安を必ず確認して下さい。
たん白質
脂肪
食物線維
灰分
水分
炭水化物
カルシウム
カリウム
リン
マグネシウム


亜鉛
クロール
ナトリウム
セレニウム
15.1g
17.0g
3.0g
4.3g
8.5g
46.6g
0.7g
0.66g
0.19g
0.06g
11.81mg
2.17mg
22.68mg
0.52g
0.19g
0.035g
EPA+DHA
L−カルチニン

タウリン
アルギニン
ビタミンA

ビタミンE
ビタミンC
ビタミンD3
ビタミンB1
ビタミンB2
パントテン酸
ビタミンB6
ビタミンB12
ニコチン酸
ビオチン
葉酸
コリン
0.378g
-
0.20g
0.95g
2079.4IU

56.7mg
18.90mg
141.78IU
1.13mg
0.66mg
3.37mg
1.13mg
0.012mg
4.25mg
0.11mg
0.12mg
283.55mg
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原材料
米、コーンフラワー、動物性油脂、加水分解大豆タンパク、家禽(鶏・七面鳥)レバー、コーングルテン、ビートパルプ、卵パウダー、魚油、フラクトオリゴ糖、精製セルロース、サンフラワーオイル、緑茶エキス(ポリフェノール源)、ゼオライト、タウリン、クエン酸カリウム、マリーゴールドエキス(ルテイン源)、各種ビタミン、ミネラル
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「食事療法食は必ず獣医師の指示に従って与えて下さい。」


Copyright Hill's
プリスクリプション・ダイエット
(ヒルズ)

「k/d」

1kg、4.5kgパック
  • 腎不全(高窒素血症)
    たんぱく質とリンの必要充分量を適切に供給することにより、排泄されるべき老廃物を低減し、腎負荷を軽減します。

    緩衝能を強化することにより、腎不全で一般的にみられる合併症である代謝性アシドーシスを改善するとともに、筋肉の消耗を軽減します。
  • オメガー3脂肪酸の増量とナトリウムの制限
    腎血流の改善に役立ち、全身及び腎の高血圧を軽減します。
  • 可溶性繊維の増量
    糞便中への窒素の排泄量を増加させ、尿中への窒素の排泄量と血中尿素窒素を低下させます。
栄養組成(平均分析値)保証分析値とは異なります。
代謝エネルギー

391kcal/100g
タンパク質
脂肪
炭水化物(NFE)
繊維質
カルシウム
リン
ナトリウム
カリウム
マグネシウム
クロライド
13.4%
17.6%
55.7%
1.9%
0.74%
0.23%
0.22%
0.60%
0.093%
0.67%
原材料
米、動物性油脂、全卵、亜麻仁、コーングルテンミール、大豆繊維、ミネラル類、ビタミン類
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「食事療法食は必ず獣医師の指示に従って与えて下さい。」


Copyright Hill's

プリスクリプション・ダイエット
(ヒルズ)

「g/d」

1kg、4.5kg
  • たんぱく質を軽度に制限
  • リンは低く
  • ナトリウムは低く
  • ビタミンB群は高く
  • オメガ-3脂肪酸を増量
  • 可溶性繊維を添加
  • 腎機能不全(腎前性高窒素血症)
    低用量のリンとたんぱく質を軽度に制限することにより、腎臓の作業負荷を軽減し、腎機能不全の管理に役立ちます。
  • オメガ-3脂肪酸を増量し、ナトリウムを制限することにより腎血流を改善し、全身及び腎の高血圧を最小限に抑え腎疾患の進行を遅らせます。
  • 腎不全状態を補正するため、腎機能不全患者において尿中への喪失が多くみられるビタミンB群が強化されています。
栄養組成(平均分析値)保証分析値とは異なります。
代謝エネルギー

363kcal/100g
タンパク質
脂肪
炭水化物(NFE)
繊維質
カルシウム
リン
ナトリウム
カリウム
マグネシウム
クロライド
17.2%
10.1%
60.5%
0.9%
0.56%
0.38%
0.17%
0.58%
0.055%
0.60%
原材料
米、トリ肉、トウモロコシ、全卵、動物性油脂、亜麻仁、植物性油脂、ミネラル類、ビタミン類
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参考資料 「犬の家庭医学大百科」 ブルース・フォーグル著 ペットライフ社(2004年12月)
       「動物看護エキスパートBOOK」 小嶋佳彦・相田真由美著 インターズー(2004年7月)